タイトル

  • 今日の雨なので傘を持っていきます。
  • 今日は具合と悪くて休みます。
教室  これはいずれも聴覚障害を持つ友人から届いたメールの一節なのですが、 ご覧の通り助詞の使い方が少し変です。またこういう文もありました。「○○さんを写真 を見ました」。
 時折こういうメールが届くので、思いきってちょっとおかしいよ、と指摘しました。 すると彼は頭を掻いて「いやあ、癖になっちゃってるんだよ」と。

 何が癖になってしまっているかというと、実をいうとこういうことなのだそうです。 物心ついた時から彼のコミュニケーション手段は「手話」が中心でした。 その「手話」では「を」「は」「へ」「が」などの助詞を表すには、 一音ごとに対応する指文字を用いるしかない。 そこで会話の時などは面倒なので、それらは省かれて「今日・良い・天気」というように単語の羅列になりがちで、 そのため助詞の正しい使い方が身につきにくいのだそうです。

 通常は、幼児期に自分に話しかけてくる周囲の人の言葉を耳から聞き、 赤ちゃん言葉で対応しているうちに自然と言葉を覚えていきます。 この場合、耳からの刺激によって覚えるのは「自立語」だけではなく、 文の意味を決定する役割を持つ「付属語」(助詞や助動詞)の置かれる位置や使い方も自然と身につけていきます。 耳からの刺激がないまま言葉を獲得していかざるをえない聴覚障害者には、 その点の細かいニュアンスがどうしてもつかみにくいのだそうです。
 そして成長してからは「手話」での単語羅列型会話の日常が積み重なる・・・

 それでは聾学校では正しい文章としての日本語は教えないのかというと、一般に 聾学校では「口語」、つまり話すための「手話」などについてはかなり厳しい指導を行なうようですが、 文章での表現に関しては、多少指示がある程度でさほど力をいれていないようです。 顔を突き合わせての交流がコミュニケーションの基本である以上、 「口語」中心の教育になるのは当然だとは思います。 私たちもその交流の手助けを少しでも出来ればと思い、このホームページを開設しているわけですが、 しかし遠隔地に住む人との交流は、 友人の例のように手紙や電子メールなどで行われることが多いと思われますから、 その意味では聾学校などにおいても、正しい日本語文章を書くための「文章講座」 にもっと多くの時間を割り当てる必要があるのではないでしょうか。

 今回の手話は、数少ない付属語(と接続詞)の特集です。

<参考URL> 下記フォームはNetscape Navigator 2.0・3.0、Internet Explorer3.0ブラウザは動作可能です。

ワンポイント手話レッスン(lesson 65)

Netscape Navigator Ver1.1以降でご覧の方はオプションの設定項目の
ヘルパーアプリケーションで、「MPEGファイル」を定義づけして下さい。
〜ので また つまり
両手親指と人さし指で
輪を作り、体の前で
繋ぎ合わせ前方に出す
【282KB】
人さし指と中指を
伸ばし(指文字の「う」)
頭の横から斜め下に
降ろしながら裏返す
【282KB】
開いた両手を両脇に
置き、握りながら
体の中心で上下に
重ね合わせる
【315KB】
もし 〜らしい
親指と人さし指を伸ばし
顔の横から下へ
降ろしながら
2本の先をくっつける
(指文字の「も」を表す)
【315KB】
人さし指と中指を揃え
顔の横から下へ
3度蛇行させて降ろす
【315KB】

・上の画像をクリックしてね!動画がでるよ!
・更新日:'97. 5.30現在 ・'97. 6. 6(lesson 66)