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何が癖になってしまっているかというと、実をいうとこういうことなのだそうです。 物心ついた時から彼のコミュニケーション手段は「手話」が中心でした。 その「手話」では「を」「は」「へ」「が」などの助詞を表すには、 一音ごとに対応する指文字を用いるしかない。 そこで会話の時などは面倒なので、それらは省かれて「今日・良い・天気」というように単語の羅列になりがちで、 そのため助詞の正しい使い方が身につきにくいのだそうです。
通常は、幼児期に自分に話しかけてくる周囲の人の言葉を耳から聞き、
赤ちゃん言葉で対応しているうちに自然と言葉を覚えていきます。
この場合、耳からの刺激によって覚えるのは「自立語」だけではなく、
文の意味を決定する役割を持つ「付属語」(助詞や助動詞)の置かれる位置や使い方も自然と身につけていきます。
耳からの刺激がないまま言葉を獲得していかざるをえない聴覚障害者には、
その点の細かいニュアンスがどうしてもつかみにくいのだそうです。
そして成長してからは「手話」での単語羅列型会話の日常が積み重なる・・・
それでは聾学校では正しい文章としての日本語は教えないのかというと、一般に 聾学校では「口語」、つまり話すための「手話」などについてはかなり厳しい指導を行なうようですが、 文章での表現に関しては、多少指示がある程度でさほど力をいれていないようです。 顔を突き合わせての交流がコミュニケーションの基本である以上、 「口語」中心の教育になるのは当然だとは思います。 私たちもその交流の手助けを少しでも出来ればと思い、このホームページを開設しているわけですが、 しかし遠隔地に住む人との交流は、 友人の例のように手紙や電子メールなどで行われることが多いと思われますから、 その意味では聾学校などにおいても、正しい日本語文章を書くための「文章講座」 にもっと多くの時間を割り当てる必要があるのではないでしょうか。
今回の手話は、数少ない付属語(と接続詞)の特集です。
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